こんな疑問を解決します。
この記事の内容
- 食品添加物とは?
- 食品添加物の役割とは?
- 危険性が指摘されている食品添加物は?
- 一般的に知られていないこと
この記事の信頼性
この記事の著者である私は、食品業界に勤めて15年以上のフードマーケター。
長年の経験から得た知見を幅広く発信し、日本の食べものを守る活動を行っています。
私たちの生活と切っても切れない関係、それが食品添加物。
安全なのか?危険なのか?そんなことを議論している間にも、どんどん新しい添加物が生み出されていく。そんな現状に不安を感じている方も多いと思います。
当記事では、事実ベースを根拠に食品添加物のことを分かりやすくお伝えします。この記事を読めば、あなたの食生活はこれから劇的に向上するはずです。
まず結論から言うとこうです。
- 食品添加物は「危険性が指摘されていない添加物」と「危険性が指摘されている添加物」の2つに分かれる。
- 「危険性が指摘されている添加物」は避けておくのが無難。避けることで得られるメリットは多く、デメリットは皆無。
詳しくは以下で説明していきます。
もくじ
食品添加物とは?
食品衛生法4条2項には「食品の製造の過程において又は食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と規定されています。
食品を大量生産・大量流通するようになった1950年代頃から急速に普及が進みました。
食品添加物の種類は?
日本で使用が認められている食品添加物は以下の通り。
※添付しているPDF資料は2015年のものでちょっと古いですが、以下枠内に記載している情報は2020年最新のものです。
指定添加物(465品目)⇒安全性と有効性を確認し、国が使用して良いと指定した添加物
既存添加物(357品目)⇒長年の経過などをもとに、国が使用を認めている添加物
天然香料(約600品目)⇒植物・動物由来の香料
一般飲食物添加物(約100品目)⇒通常は食品として用いられるが、食品添加物的な使い方をするもの(例:寒天)
≫≫「食品添加物に関する規制の概要」より(厚生労働省HP掲載の資料)
天然由来のものも含めると、日本では1,500種類以上の食品添加物が認可されています。ちなみにこの数は世界でも超トップクラスの多さ。簡単に言うと、日本はとても食品添加物の認可に寛容な国です。
私たちが特に知っておくべきなのは上に赤字で書いた「指定添加物(465品目)」と「既存添加物(357品目)」。安全か危険かの議論はいつも、この2つの中から発生します。
食品添加物にはどんな役割があるの?
役割はシンプルです。次の通り。
保存性(日持ちを良くする)
見栄えを良くする
味や香りを良くする
食品添加物がなければ賞味期限や消費期限は極端に短くなります。また、安価で見た目や味を整えることも不可能となり、食品の価格は大高騰します。
結論、全てを排除することは不可能ですし、安全で有益な添加物もたくさん存在しています。
では、「危険性が指摘されている食品添加物」とは一体どれなのか?次で説明します。
危険性が指摘されている食品添加物は?
とても全ては書ききれないので、ここでは代表的なものを。とりあえず、ここで挙げたものを押さえておけば一般の方より圧倒的に詳しくなれます。
※「全て知りたい!」という方のために、後日別記事をアップする予定です。
危険性が指摘されている食品添加物
亜硝酸ナトリウム・・・ハムやウインナーの発色剤として使用
アスパルテーム・・・ダイエット食品や清涼飲料水の甘味料として使用
リン酸塩・・・かまぼこ等、練り物全般の結着剤として使用
赤色3号・・・様々な食品の着色料として使用
臭素酸カリウム・・・パンの生地改良剤として使用(イーストフード)
ナイシン・・・チーズやソースの保存料として使用
オルトフェニルフェノール・・・輸入柑橘類の防カビ剤として使用
亜硝酸ナトリウム
亜硝酸ナトリウムは劇物に指定されている化学物質です。
「えっ?」と思われるかもしれませんが、「少量ならば問題ない」とされ、食品添加物として使用が認可されています。
「塩せき」とも言われます。市販のハムやウインナー、それから明太子などには、ほぼほぼ入っていると思ってください。
こんな目的で使われています。
肉の色をきれいにする
風味向上
日持ち向上
亜硝酸ナトリウム自体には発がん性が無い事が確認されています。指摘されている危険性は、食肉に含まれるアミンと結びつくと、ニトロソアミン類という発がん性物質に変化するということ。
国立がん研究センターの約10年間の疫学調査結果によると、明太子やたらこなどを頻繁に食べている人の胃がん発生リスクは2倍以上高かったそうです。
また同センターは、「塩分で炎症を起こした胃が、細胞を再生させるときに、食品に入って来た発ガン性物質がまざって、がん化させるのではないか」という見解を述べています。
あとは事実として、アメリカでは亜硝酸ナトリウムをベビーフードに添加することが禁止されています。
この事実が色々なことを物語っているように思いますね。
一方、「一般的に摂取する分には問題ない」とする専門家の見解も多数あります。
それらの見解は概ね、「食品から摂取する程度の量では、危険であるとは言えない。むしろ食中毒を防止するために有益だ。不安を煽るのは良くない」というものです。
※このあたりはググるといくらでも情報が出てきます。
ざっくり言うと、世界中で意見が分かれているのです。それも長年。おそらくその議論に決着がつくことはないと思われます。
ここで考えて欲しいことは一つ。
そもそも安全か危険かの答えは出ていないわけですね。現状。
であれば、とりあえず可能な範囲で避けておけば、危険性についてあれこれ悩むストレスからは完全に開放されると思いませんか?
成分がどうのという以前に、「大丈夫かなぁ…」と不安になって食生活を送ることの方がデメリット大だと思います。自分だけならまだしも、子どもに食べさせる上では尚更です。
ここからは私の個人的見解です。
私はウインナーが大好きなのですが、亜硝酸ナトリウムの入ったウインナーを食べると舌がしびれたような感覚になります。ウインナーを製造する現場でどれだけの食品添加物が使われているかをよく知っているから、バイアスがかかっているのかもしれませんが…。
あと、これは余談です。
某コープで働いていた時代、よく組合員を連れてウインナー工場へ見学に行っていました。亜硝酸ナトリウムを使ったバージョン(市販用)の製造過程を見ると、ほとんどの組合員は口を揃えて「もう市販のウインナーは買えない…」と言っていましたね。タールみたいな、結構えぐい色してるんです、発色剤って。
ということで、語り出すと当記事だけでは収まりませんので、他の食品添加物についての詳細は別記事にまとめることにします。
一般的にあまり知られていないこと
一度認可された食品添加物が使用禁止になったことがある
フリルフラマイド(通称:AF2)と呼ばれる食品添加物がありました。
ボツリヌス菌に対する殺菌能力を持つ防腐剤として、「豆腐や魚肉ソーセージ等」に添加されていたものです。
これの経過は次の通り。
1965年、厚生労働省が認可
1971年、東京医科歯科大学教授のグループにより「AF2がヒトの染色体に異常を起こさせる」ことが発見される
1973年、国立遺伝学研究所のグループにより「AF2がバクテリアの遺伝子に突然変異を起こさせる」ことが確認
更に、AF2に発癌性があること、AF2が肝臓内で更に毒性の強い別の物質に変化する可能性があることも確認
1974年8月27日、食品添加物認可が取り消される
約10年の間、どれだけの日本人がどれだけの量を摂取してきたのでしょうか。
こういった事例を知ると、やはりこう思います。
今使われている食品添加物も、ある日突然禁止されるのではないか?やっぱり、安全性が確立されていないものは避けておくに越したことはない。
海外では使用禁止だけど、日本では使用OKなものがある
代表的なものに「赤色2号」があります。
「清涼飲料水、菓子類、氷菓、シロップ、ようかん」などに使用されているタール系の合成着色料ですね。石油製品から合成され作成されます。
赤色2号は、アメリカでの動物実験で発がん性が指摘され使用が禁止されています。
一方、日本では今でも幅広く使われています。
この事実をどう思われるかは人それぞれですが、少なくとも(自分も含めて)家族には摂取させたくないと思われる方が多いのではないでしょうか。
食品添加物との関わり方:本日のまとめ
私は、食品添加物に関して「安全or危険の議論」は完全に無益だと考えています。
結局のところ、事実ベースで情報を集めて自分で判断する以外にないと思います。
食品業界のプロとして強く思うことは、「国が言うことだから絶対大丈夫」だとか、そんな意識で生活していて良いことなんか一つもないということです。
日本の食文化を作っていくのは私たちの選択の積み重ねであって、売られているものを何も考えずに買うとか価格だけ考えて買うというのは、人生の重要な選択肢を放棄することと同じな気がします。
私たちが何を選んで買うか。
これが日本の食の将来を作っていきます。
まずは、情報を知ることから始めてみませんか。あなたの食生活が豊かなものになることを願っています。